空手の攻撃のエネルギーの源泉は「足」です。「足」の踏み込みによって得られたエネルギーを効果的に繰り出す攻撃に加えて行くには腰の動かし方が非常に重要です。この動画、記事では最も基本的なその場突きの腰の動かし方について説明しています。
体の動かし方の順序を意識する
最近youtubeで多流派の稽古を目にする機会があったんですが、その中で基本や形の挙動を見ていましたが大半の道場せいが足で得たエネルギーを十分に生かした体の使い方になっていませんでした。
どうやら、突きを突くときに上半身の力みを利用し、腰や下半身はその上半身の力に引っ張られるように後から突きの挙動に合わせて動くと言った体の使い方をしているようでした。
これでは突きの大半のエネルギーを上半身に頼っており、足の踏み込みや腰の回転の挙動が意味をなしません。
まず攻撃の際のエネルギーの伝達経路を把握しどのような仕組みで攻撃にエネルギーが加えられるかを理解しないと無駄の多い体の使い方になってしまいます。
まず力の発生は足そして腰の回転で足で得たエネルギーを腕に伝え、腕の伸張によって拳に攻撃を伝えるという順序で力が伝わっていきます。全ての挙動はほぼ同時に行われますが、
厳密には、上半身の筋肉が稼働するのは一番最後になります。
1,足の踏み込みによってエネルギーを得る
足を踏み込んで地面の反発力を足に溜めます。
2,腰を回転させる
足の踏み込みによって得たエネルギーを効果的に腰の回転につなげます。
3,拳にエネルギーを送る
腰の回転によって足の踏み込みで得たエネルギーを腕に伝え、腕の伸張によって拳にそのエネルギーを乗せます。
突きを繰り出す時、突きを出す挙動が早ければ早いほど3つの動作は同時に行われるようになりますが、どのような状況においても突きを繰り出す時には必ず足、腰、突きの順番で体が運用されていることを意識してください。
足の踏み込みによって得られる反発力を利用する
「反発力」とは、足を地面に踏み込んだときに地面から自分の足に得られる反発する感覚です。
例えば、足をできるだけ高く上げて、踏み下ろしたときに足のかかとからふくらはぎにかけて「ジーン」と反発する力が上がってくる感覚を覚えますが、これを私は「反発力」と読んでいます。この感覚、エネルギーを腰に転化させなければいけません。
ただ単に振り上げた足を地面に踏み下ろして、正拳突きを突いただけではエネルギーは効果的に腰に伝えられません。
なぜならば、腰の動きを駆使しなければエネルギーは足から上の方向を抜けていってしまうからです。踏み込んだと同時に腰の回転にエネルギーが転化できるように体を運用していかなければなりません。
どのように足で得たエネルギーを腰に伝えるか
足で得たエネルギーを腰に伝える役目を果たすのは股関節の筋肉です。股関節の筋肉の動きが腰の回転運動につながります。攻撃する手とは逆の股関節を縮めることによって攻撃する方の腰が前に押し出されて、上半身の半身が前に出ます。その後攻撃が完了すると同時に腰を正面に戻すことでより突きのエネルギーが相手に浸透しやすくなります。
具体的に、その場突きの姿勢で右手で正拳突きを行う場合は、引き手を引く方の手の側の股関節、つまり左の股関節を閉じて、股関節の筋肉を太ももの内側に密着させます。そうすると右の腰が自然と前に押し出されると同時に右上半身も前に押し出されます。その後脱力して腰を正面に戻すという一連の動作が腰の動かし方になります。
踏み込んだと同時に股関節を縮めるということをまず念頭に入れて、踏み込みと股関節の動きを連動させるように部分的に練習しましょう。
腰の回転をどのように腕、そして拳に伝えるか
足と、股関節で作った勢いをそのまま腕に伝えるには腕の脱力が必要です。上半身が力みすぎていると足と腰で作ったエネルギーが伝わらないどころか、その流れを止めてしまうことになります。
腰の勢いはそのままに鞭の動きのように腕は脱力してエネルギーの惰性を使って正拳突きを繰り出すようにしてください。
中心軸を意識する
自分の頭の旋毛から背骨にかけて一本の棒が通っていると考えてください。この一本の棒を中心軸と捉えて腰を回転させそして上半身もその動きに連動させてください。
中心軸が曲がっていると効果的に腰の回転運動によって突きにエネルギーが送られません。つまり背骨が曲がった状態では効果的な突きはつけないという事になります。
しっかり背筋を伸ばし、そして直線の棒が旋毛から背骨にかけて通っているとイメージして腰の回転とともに右半身、左半身を効果的に動かしましょう。
まとめ
人間の体の構造皆同じです。よって打撃格闘技全般の体の使い方は空手に限らずボクシングもキックボクシングも大きな目で見れば技術的にはそんなに大差はありません。
格格闘技スタイル空手流派の個性的な技術はどの動きにスポットライトを主に当てて技術のセオリーを立てているかで独自性が生み出されているだけです。
空手はその打撃の技術体系の中でも特に腰の動きと上半身の使い方に独自性があるため異質な技術に見えますが根本は全ての打撃と考え方は同じです。
という事で足の踏み込みから股関節を利用して腰をうまく機動的に運用する体の使い方は空手だけではなくその他の格闘技でも利用価値のある技術ですので、格闘技をやられている方はぜひ「その場突き」を練習に取り入れてみて下さい。