昨今の格闘技の人気の低下は著しく、一時期、紅白歌合戦並みに数字が取れた大晦日の格闘イベントは視聴率が振るわず崖っぷちと言われています。
1990年代から2000年代初頭にかけて日本を席巻したK-1、プロレスをはじめとする格闘技ブームは何処へやら、国民のスポーツの関心は野球やサッカーなどのメジャー競技に奪われ、日本の御家芸である柔道や空手、剣道には不思議なほど無関心。
学校の授業で体育の必須選択科目になっている柔道は辛うじて、民放が世界大会や全日本などの放映権を獲得して盛り上げている様子ですが、空手の人気は下火も下火。オリンピックという大義名分がなかったらもはやNHKで放送されるか危ういほど人気が低迷している感じです。
80年代はは民放で盛んに放映していた極真の試合も、現代では全く放送されていません。日本における格闘技のブームは一過性で日本人のような農耕民族にはそもそも全く相入れない競技なのかもしれません。
そんな大部分の国民からは全く支持を得ていない格闘技ですが、実生活に役に立つ部分はあります。それは危機察知能力です。
格闘技は殴り合い、投げ合いの非常に動物的な競技ですが、その中で培っていく相手の攻撃が来るという、動物的な勘が実生活でも危険の前触れを知らせる警鐘として役に立ちます。例えば経験上以下の点で直感的に危機感を覚えたということがあります。
私が危機を回避の直感が働いた経験
海外旅行中に現地の人の不穏な誘いを断る
「知らない人について行かない」というのは子供の頃によく言い聞かされた文言ですが、実際のところ、気さくでこちらに興味を持って話しかけて来る人に悪い印象など持ちませんし、観光案内を買って出てくれるとあらば心を許してお願いしてみようかしらという心持ちになるでしょう。
私はカンボジアへ一人で旅行したときに、気さくに日本語で話しかけて来る現地人にすっかり心を許してしまい、その現地人の家へ招待するという誘いに乗ろうとした時に直感的に何かを企んでいると感じ、断りました。
当時はカンボジアでは邦人観光客に対する賭博詐欺が横行していて、日本人を自宅に連れ込んで賭博をさせ大勝ちしているように演出して大金を騙し取る手口が横行していました。
海外旅行中に飲食店にて不当請求されクレームを言うが、途中でやめる。
東南アジアでは日本と比べると消費者ファーストの意識は低く、店員の態度はやる気がなかったり、横柄そのもの。そのくせ観光客からは金をせしめようとあの手この手で金を取ろうとして来ます。
ある日、飲食店に入店してひとしきり食事を終えた後、店員に伝票を持ってこさせ値段を確認しているとテーブルチャージが30パーセントとなっていました。
テーブルチャージを請求するのは外国の飲食店では割と当たり前にやられていることですが、メニューにあらかじめ記載されていたテーブルチャージは飲食代の10%と言うことでした。
さりげなく20パーセント上乗せして飲食代を請求して来たわけですが、もちろんクレームです。強い口調でクレームを言い始めたところ、違和感を感じました。それは周りの席についている客のほとんどが軍の関係者だったのです。
消費者ファーストの意識は低くいですから、いかに店側に落ち度があろうとも非を咎められて客と抗戦の構えをとったら徹底的に客をやり込める算段を敷いてきます。
クレームを出そうとしたその時、この飲食店が軍と結託して私を拘束して後でとってつけたような罪名で自分たちの正当性を主張するだろうと不安がよぎりました。
まだ店員の態度が柔らかいうちにクレームを取り下げそのまま言われた額を支払って店を後にしました。 実際クレームを続けて私の想像どうりの事象に発展したかは定かではありませんでしたが、強い口調で咎め続けることは、向こうに何かしら反撃する動機を作ってしまいますので、自分の危機レーダーが自分の行動に警鐘を鳴らしました。
平穏な日々に慣れすぎると危機勘が鈍る
実際自分の行動もしくは状況が危機につながるかどうかは常日頃から無意識にアンテナを立てていなければなりません。日本では自分が危機に瀕すると言う状況に出くわす確率は非常に低いので危機察知能力は平穏な日々とともに失われていくでしょう。
昨今韓国を旅行中の10代の少女がナンパをして来た男に暴力を振るわれると言う事件がありましたが。事件の蓋を開けてみると、ナンパを無視したにも関わらず罵詈雑言を投げかけながら追いかけて来る男をスマホで撮影して挑発していたみたいです。
追いかけられると分かった時点で走って逃げればよかったのに、悠長に撮影して相手の逆上をさらに買ってしまったと言うわけです。危害を加えられた場合誰かが助けに来てくれるとでも思ったのでしょうか?海外での危機対応に全く無頓着すぎます。
平穏な日常の中で格闘技を学ぶ意味は心身を鍛えるとともに危機察を感知する能力を養う点にあります。殴り合い、投げあいは人間の争いの中で最も原始的なものですが、こうした闘争本能を発揮できる格闘技の練習は日本での平穏な生活の日々では決して身につけることができない、危機回避能力を身につけることができます。
平穏に慣れきった生活をしている現代の日本人は、海外でも日本のような平和が保証されていると思い込み、危険な目にあっても誰かがきっと助けてくれると淡い期待を抱いていると思いますが、海外はそんな甘くはありません。
海外は一見平和そうで、実は様々なところに危険の芽が潜んでます。危険が自分の身に及ぶ前に未然に対処するに危険が訪れていると感じる直感を鍛えなければなりません。
そういった意味でも格闘技は有効ですので、特に海外に旅行予定の女性は格闘技の練習が必要です。是非格闘技を学んで自分の危機察知能力を敏感にしましょう。