正道会館が全空連に加盟した理由についての考察

K-1など格闘技イベントを主催するフルコンタクト空手団体の正道会館が、2018年12月7日に開催された全空連の常任理事会、理事会において「認定団体」として承認されました。

フルコン団体としては初の全空連加盟組織になるとあって空手界に衝撃を与えています。

フルコン空手と言えば極真会館が流祖

フルコン空手といえば、極真会館創始者大山倍達が様々な空手流派、武道を経験そして多くの格闘家と武道家と交流後、直接打撃を用いたルールを導入した流派を設立しました。

極真が設立された1960年代当時は、伝統派の寸止めポイント制がが主流だった空手界に直接打撃制のルールを導入し旋風を巻き起こし、それまで寸止めポイント制のルールに疑問を抱いていた一部の空手修行者が極真に鞍替えしたり、伝統派の欠点を一部批判的に描いた梶原一騎のマンガ、「空手バカ一代」が多くの一般人に影響を与え、極真空手の強さや魅力を世間に轟かせるきっかけとなりました。

この頃から「伝統派空手」と「フルコン空手」の確執がささやかれるようになり、両者はお互いに距離をおいて存続してきました。

それが昨年の12月に極真から派生したフルコンタクト空手の流派でk-1などの格闘技イベントも手がける正道会館が伝統派空手のメッカ「全日本空手道連盟」の傘下に「認定団体」として加わり、正道会館は新ルールを発表し新しいフルコン空手の形を模索しています。

ということで本記事では正道会館が全日本空手道連盟に加盟した理由について私なりの見解を交えて話していこうと思います。

  • 正道会館が採用した新ルールについて
  • なぜ正道会館が全空連に加盟したのか

正道会館が採用した新ルールについて

正道会館が採用したポイント制ルール

正道会館は全日本空手道連盟の加盟に伴って「フルコンプラス」というフルコンの要素、伝統派の要素を盛り込んだ新たなルールを採用し新たな試合スタイルを採用しました。

顔面の突きは引き手による極めを伴うライトコンタクト、上段の蹴り技、中段の技はフルコンタクトとなっています。ベースはポイント制を用いながら、ノックダウンや繊維喪失をルールに盛り込んでいるところが特徴です。

  • ポイント1=上段直突き、中段直突きクリーンヒット
  • ポイント2=中段蹴りクリーンヒット
  • 上段蹴りクリーンヒット、転倒した相手への下段突き寸止め
  • ポイント8(一本)=ダウン、戦意喪失、ポイントの累積

試合運びはかなり実践的

フルコンプラスはポイント制のルールを敷いていますが、選手の試合運びは盧山率いる極真館の真剣勝負ルールに似ています。というのもこのルール、技が相手に入った際に全空連ほど頻繁に「待て」がかかりませんし、伝統派の選手のように極端に引き手をとることがポイントとして認められる条件ではないようです。

その為突きが審判にポイントとして認められなかった場合も試合が中断されずに続行している場合があるので選手は極端に極めのポーズを取らずにガードを高くあげて相手の反撃に備えていることがわかります。

まだルールを採用して日が浅いということもあって試合では選手が戸惑っていますが、ダウンが認められている分、JKFやIKFのルールよりかなり魅力的でかなり実践的です。

一部フルコンルールを導入しているが。。。

このフルコンプラスルールは上記でも書きましたが、腹部への突き攻撃、上段への蹴り、中断と下段の蹴りは直接打撃制を導入していますが、動画を見てわかる通り、顔面ありルールの距離感では簡単に腹部への攻撃はできません。

ルール上どうしても上段への攻撃に集中します。その為顔面なしの直接打撃制ルールの試合運びとは一線を画しています。これからこのルールを採用するに当たって正道会館でかなりの技術的な研鑽が始まると思います。

なぜ正道会館が全空連に加盟したのか

正道会館が全空連の加盟組織になったことについては様々な憶測が飛び交います。技術的な問題と合わせて私なりの解釈でその理由の真相を探って行きたいと思います。

正道会館の石井館長は商売人であり経営者

正道会館は表向きは昨今格闘技界で支持されているMMAスタイルのルールに対応する為、総合的なルールに対応することを組織の命題にして全空連に加盟していることになっていますが、これは空手組織の存続を見据えての行動だと思います。組織の存続を考え現在一番注目されている市場に参入するというのはどの営利組織でも同じことだと思います。
芦原道場から独立し、一から流派を起こして名を売ってきた経験から様々なことに挑戦してきた石井館長のDNAが正道会館に脈々と受け継がれています。

極真会館から独立した弱小正道会館が辿った現在に至るまでの軌跡を見れば空手組織として様々な工夫をこらしながら生き残っていることがわかります

正道会館の軌跡

極真会館芦原派から石井館長が独立する

芦原英幸の弟子だった石井館長22歳の時に大阪で芦原道場を設立し支部長になる。サラリーマン生活を送りながら道場を運営する。道場経営に手腕を発揮し、神戸市・京都市・奈良市・堺市・岡山市に道場の勢力を拡大する。

石井は1980年に極真会館芦原道場大阪支部長から独立し正道会館を設立する。以降様々な空手オープントーナメントに道場生を出場させ実績を作る

キックボクシングに進出

1990年、日本キックボクシング連盟の大会に参戦しキックボクシングに進出する

格闘イベントの興行に進出

1991年、前田日明の総合格闘技興行「リングス」と提携し、興行のノウハウを吸収し、k-1の全身である格闘技イベント「格闘オリンピック」を開催する。

格闘ぎイベントk-1を開催

フジテレビの番組の企画の一環としてK-1 GRAND PRIX ’93」を開催。以降お馴染みのk-1の興行が始まる。

Dynamite!を開催

Prideを主催するドリームステージエンターテインメント、アントニオ猪木らとともにDynamite!を開催。

新しいことへの挑戦に貪欲な正道会館

正道会館の軌跡を観察していると、流派の名を売るために他流試合の申し込みに始まり、キックボクシングへの試合参加、総合格闘技イベント「リングス」の提携、様々な格闘技イベントの立ち上げに関わってます。

名を売るために利用できるものは最大限利用して生かすのが正道流。空手技術は芦原空手をベースにしながらもキックルールを採用しグローブ空手など新しい空手ルールのカテゴリーも作りました。

技術には伝統派空手流派のような固執したこだわりはなく新しいものは柔軟に取り入れており、今回の伝統派ルールの採用にも全く抵抗がなく受け入れているようです。

五輪出場は最大の広告

オリンピック五輪は世界最大のスポーツの祭典です。石井館長ほどの商売人ならこのチャンスを逃すわけがありません。多少プライドを折ってもオリンピック種目に認定された伝統空手を取り仕切る全空連の傘下に下ることなど造作もないはず。

また積極的なMMA試合への参戦を考えると、伝統派のポイントルールの採用は名実ともに組織のベネフィットを底上げするには合理的な経営判断なのだと感じます。

正道会館の目線はやはりオリンピック出場を目指しつつ現在世界で格闘技界を沸かせているUFCへの参戦かもしれません。



空手ランキング

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *